懐かしのマイナー馬たち

懐かしの競走馬たち

あまり取り上げられることのない思い出の競走馬をきままに語ります。

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タガノテイオー

 

プロフィール

タガノテイオー

1998年4月10日 牡馬

父  サンデーサイレンス

母  カフェドフランス

母父 Danzig

厩舎 松田博資(栗)

5戦2勝

主な勝鞍 東京スポーツ杯3歳S(G3)、朝日杯3歳S(G1)2着

 

競走生活

JRA

2歳:5戦2勝 未勝利、東京スポーツ杯3歳S(G3)、朝日杯3歳S(G1)2着

※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

夏の札幌で後に伝説の新馬戦とも言われるようになる新馬戦でデビューします。1番人気に推されましたが、のちにダービー、ジャパンカップを勝つジャングルポケットを追い詰めるものの2着に敗れてしまいました。

折り返しの新馬戦はきっちりと抜け出して初勝利を飾ります。

3戦目には札幌3歳Sに出走し、500万下を圧勝してきたのちのG1 3勝馬テイエムオーシャンダリア賞を勝ってきたマイネルカーネギーに人気は譲りますが、これまでと同じような勝負所で先団に取り付くレースをしましたが、今度は後ろから差される形で再びジャングルポケットに敗れ、2着となります。

続いて東京スポーツ杯3歳Sに出走します。1番人気には初勝利をオープンのクローバー賞で挙げたウインラディウス、2番人気は新馬戦が強い内容だったグラスミライでしたが、逃げるヒマラヤンブルーをきっちりと捕らえ、初重賞制覇を飾ります。

そして、朝日杯3歳Sに向かいます。距離短縮で初の1600m戦となりましたが、ここまでのレースぶりから1番人気に推されます。レースもこれまで同様に抜け出しては来ましたが、いつもほどの伸びがなく、メジロベイリーに差し返され、2着に敗れます。最後の直線で左後脚が骨折しており、残念ながら予後不良となってしまいました。 

 

血統構成

サンデーサイレンス現役時代はケンタッキーダービープリークネスSの2冠を制し、BCクラシックも制しています。引退後は日本で種牡馬入りし、日本の血統図を塗り替えてしまうほどの大種牡馬となります。3冠馬ディープインパクトをはじめ、多数のG1馬、重賞勝ち馬を輩出し、勝利数は現時点で歴代1位となっています。

母カフェドフランスは未出走で繁殖入りし、本馬以外には2頭の牝馬を産んでいます。ひ孫にあたるタガノグランパファルコンSを制しています。

母の父Danzigは競走馬としては脚元の不安があり、一般戦のみの3戦3勝でしたが、種牡馬としては、大種牡馬ノーザンダンサーの最高の後継種牡馬の1頭に挙げられる大活躍をします。初年度からエクリプス賞最優秀2歳牡馬Chief's Crownを輩出し、その後もベルモントSDanzig Connection、プリークネスSのPine Bluff等のダートの活躍馬、BCマイル連覇のLure、BCマイルのWar Chant等の芝の活躍馬を輩出します。アメリカ国外でも愛2000ギニーのShaadi、ジュライCGreen Desert等の活躍馬を輩出しています。日本でも阪神3歳牝馬Sヤマニンパラダイス、アベイユドロンシャンのアグネスワールド等を輩出しています。また、Green DesertDanehill等の後継種牡馬も大活躍し、Danzig系と呼ばれるまでになっています。

 

私の注目ポイント

なぜ私がタガノテイオーを取り上げたかをご紹介します。

1.伝説の新馬戦で1番人気

8頭立てだった新馬戦は8頭すべてが勝ち上がるという伝説の新馬戦の一つに挙げられています。メンバーもダービー、ジャパンカップを勝ったジャングルポケット朝日杯3歳Sメジロベイリー若葉Sのダイイチダンヒルなど後にもかなりの活躍をしている馬が出走していました。

戦前も天皇賞メジロブライトの弟メジロベイリー牝馬ながらケンタッキーダービーを勝ったWinning Colorsの孫でTheatrical産駒のドラマチックローズ、重賞5勝でサマーサスピションローゼンカバリーを輩出したダイナフェアリーの孫で名門伊藤雄二厩舎のダイイチダンヒルといった良血馬が揃ってはいましたが、それらを抑えて本馬が1番人気に推されました。

レースこそ先行したジャングルポケットに敗れてしまいましたが、この2頭は覚えておかなければと思った記憶があります。

ちなみに折り返しの新馬戦には敗れた7頭のうち6頭が出走し、1着から6着までを占めました。6着から7着の間には9馬身もの大差がついており、いかにこの新馬戦のレベルが高かったを物語っているかと思います。

 

2.レースセンスの高い走り

新馬札幌3歳Sジャングルポケットの2着と敗れてしまいましたが、力でねじ伏せる感じのするジャングルポケットに対し、勝負所で先団に取り付ききっちりと抜け出してくる様が安心して見ていられました。私自身、5レースとも本命視しており、安心してレースを見ていられた記憶があります。

最後となった朝日杯3歳Sこそいつもの伸びがないなと見ていましたが、そこまでのレースぶりはさすがで、「まともならぶっちぎっていた」とコメントした藤田騎手ではないですが、故障がなければ勝っていたとしてもおかしくはない内容だったように思います。

クラシック戦線でも楽しみと見ていただけにアグネスタキオンクロフネといった名馬との対戦も見てみたかった気がいたします。 

 

3.藤田騎手も最強馬に挙げる能力の高さ

主戦であった藤田伸二騎手も自分が乗った中では最強馬と語るほどです。藤田伸二騎手と言えばダービー馬フサイチコンコルド有馬記念シルクジャスティスなど数多くの名馬に騎乗しており、その中でも最強というほどですから、かなり期待していたことは想像に難くありません。それだけに朝日杯3歳Sでの故障が残念でなりません。

 

 

 


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孫は無敗2冠馬デアリングタクト~デアリングハート

 

プロフィール

デアリングハート

2002年3月9日 牝馬

父  サンデーサイレンス

母  デアリングダンジグ

母父 Danzig

厩舎 藤原英昭(栗)

26戦4勝

主な勝鞍 府中牝馬S(G3)2回、クイーンS(G3)、NHKマイルC(G1)2着、桜花賞(G1)3着、ヴィクトリアマイル(G1)3着

 

競走生活

JRA

2歳:3戦1勝 未勝利

3歳:8戦0勝 NHKマイルC(G1)2着、桜花賞(G1)3着、フィリーズレビュー(G2)2着

4歳:6戦2勝 クイーンS(G3)、府中牝馬S(G3)

5歳:6戦1勝 府中牝馬S(G3)、ヴィクトリアマイル(G1)3着

6歳:2戦0勝 TCK女王盃(G3)2着

 

2歳秋の新馬戦でデビューするも後に阪神ジャンプSを制するマヤノスターダムの2着に敗れます。つづく未勝利戦では先行して抜け出す危なげない競馬で初勝利を飾ります。3戦目にはG1の阪神ジュベナイルフィリーズに挑戦し、未勝利勝ち後で11番人気でしたが、5着と健闘します。

3歳を迎えると紅梅Sではエリモファイナルに、エルフィンSでは後の秋華賞エアメサイアに敗れます。そのため、フィリーズレビューでは7番人気と人気を落とします。勝った圧倒的1番人気のラインクラフトの末脚には屈しますが、前走で敗れたエアメサイア、世代屈指の末脚を誇るディアデラノビアを抑え、2着に入り、桜花賞に向かいます。

桜花賞では主戦の武幸四郎騎手がチューリップ賞を無敗で制したエイシンテンダーに騎乗したこともあり、ミルコ・デムーロ騎手が騎乗します。10番人気までさらに人気を落としますが、2番手から抜け出し、あわやの場面をつくり、ラインクラフトシーザリオとはアタマ、クビ差の3着に健闘します。

次走はオークスには向かわず、NHKマイルCに向かいますが、桜花賞がフロックと考えられたのか再びの10人気で、さらにオッズも20.0倍から36.6倍に上がってしまいました。しかし、レースでは4番手からラインクラフトと抜け出し、再びあわやの場面を作ります。三度ラインクラフトに敗れる結果とはなりましたが、他の馬を抑え2着に入ります。

秋華賞に向け、クイーンSに出走すると春のG1戦線での活躍が評価され1番人気となりますが、レクレドールに敗れ4着となります。秋華賞も3番人気に推されますが、初の1秒以上の大敗となる12着に敗れ、その後のスワンSも2桁着順となってしまいました。

約5か月休養後の阪神牝馬Sも12着と大敗しますが、続くヴィクトリアマイルエプソムCで復活の兆しをみせます。2年連続の出走となったクイーンSでは4角先頭から抜け出し、G1馬ヤマニンシュクル、のちのG1馬ブルーメンブラッドを抑えるという最強の1勝馬の称号を返上する強い内容で、未勝利以来の勝利を初重賞制覇で飾ります。

府中牝馬Sも2番手から抜け出し、サンレイジャスパーディアデラノビアを抑え重賞連勝となりました。

つづくマイルチャンピオンシップで13着と敗れると4か月半の休養に入り、ダービー卿CTで復帰するとヴィクトリアマイルで3着に入るなど、重賞戦線で好走を続けます。秋には府中牝馬Sを先行して抜け出す得意の形で連覇し、エリザベス女王杯に向かうものの12着と敗れ、ダート戦に矛先を向けます。クイーン賞3着、TCK女王盃2着と好走し、フェブラリーS7着を最後にクラブの規定もあり、引退となりました。 

 

 

血統構成

サンデーサイレンス現役時代はケンタッキーダービープリークネスSの2冠を制し、BCクラシックも制しています。引退後は日本で種牡馬入りし、日本の血統図を塗り替えてしまうほどの大種牡馬となります。3冠馬ディープインパクトをはじめ、多数のG1馬、重賞勝ち馬を輩出し、勝利数は現時点で歴代1位となっています。

母デアリングダンジグは調査できた範囲では未出走だったようです。3歳で繁殖入り後はアメリカのスーパーダービーを勝ったEcton Park、武蔵野Sなどダート重賞3勝のピットファイターなど様々な種牡馬から活躍馬を輩出しています。

母の父Danzigは競走馬としては脚元の不安があり、一般戦のみの3戦3勝でしたが、種牡馬としては、大種牡馬ノーザンダンサーの最高の後継種牡馬の1頭に挙げられる大活躍をします。初年度からエクリプス賞最優秀2歳牡馬Chief's Crownを輩出し、その後もベルモントSDanzig Connection、プリークネスSのPine Bluff等のダートの活躍馬、BCマイル連覇のLure、BCマイルのWar Chant等の芝の活躍馬を輩出します。アメリカ国外でも愛2000ギニーのShaadi、ジュライCGreen Desert等の活躍馬を輩出しています。日本でも阪神3歳牝馬Sヤマニンパラダイス、アベイユドロンシャンのアグネスワールド等を輩出しています。また、Green DesertDanehill等の後継種牡馬も大活躍し、Danzig系と呼ばれるまでになっています。

 

私の注目ポイント

なぜ私がデアリングハートを取り上げたかをご紹介します。

1.最強の1勝馬

 

未勝利戦を勝ち上がった後は、阪神ジュベナイルフィリーズに挑戦して0秒3差の5着と健闘し、続けてオープンを2回使った以外は重賞に出走しつづけました。そのほとんどのレースにおいて先行して確実に抜け出すという堅実な走りを見せていました。

しかし、フィリーズレビュー桜花賞NHKマイルCの3連戦のように勝てそうと思ったところラインクラフトに最後に差されたり、先に抜け出されてしまったりとワンパンチ足りないところがあり、個人的には非常に応援していました。

 

2.クイーンSでの初重賞制覇時の強さ

 

1に挙げたように最強の1勝馬で終わってしまうのかと思っていたところ、4歳のクイーンSでは4角先頭からヤマニンシュクル以下を突き放して快勝し、その今までに見たことのない力強い走りに驚かされた記憶があります。

つづく府中牝馬Sも勝ち、ついに本格化したのかと思いましたが、その後は府中牝馬Sを連覇したものの、また元の善戦ウーマンに戻ってしまいました。

 

3.孫から無敗の2冠馬

 

繁殖入り後も期待して見ていたのですが、現時点では目立つ活躍馬が出ておらず、半分忘れかけていました。しかし、子のデアリングバードの子から2020年の桜花賞オークスを無敗で制したデアリングタクトが産まれ、本馬の桜花賞で期待していた私としては非常に嬉しく思うとともに感慨深いものがありました。

こういった思い出が代々つながっていくところが、競馬の面白さの一つではないかと改めて感じているところです。

 

 


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オークスの時期に走る血統~ナナヨーウイング

 

プロフィール

ナナヨーウイング

1994年5月4日 牝馬

父  セレスティアルストーム

母  ナナヨーアトラス

母父 バンブーアトラス

厩舎 吉永猛(栗)

12戦2勝

主な勝鞍 500万下(京都ダ1800)、オークス(G1)(東京芝2400)2着

 

競走生活

JRA

2歳:5戦0勝

3歳:7戦2勝 未勝利、500万下、オークス(G1)2着

※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

 

 2歳夏の小倉芝1000でデビューし、逃げてスピードのあるところを見せますが、6番人気6着に敗れます。その後、年末まで芝1600以下のレースを4戦しますが、3戦目に0秒3差だった以外は1秒以上離されてしまいました。

年が明けて初のダート戦となった未勝利ではガラリと一変し、8番人気をあざ笑うかのように0秒9差で初勝利を飾ります。続く500下もさらにタイムを縮めて2勝目を飾りました。

オープンに上がり、重賞のフラワーCに挑戦しますが、シーキングザパールの前に9着と敗れます。続いて桜花賞当日の忘れな草賞はナイトクルーズにちぎられたものの3着となりました。

そして迎えたオークスはダート戦しか勝ちがなかったことから13番人気の低評価でした、勝ったメジロドーベルに次ぐ上がり3ハロンのタイムを記録し、2着に入りました。

秋はローズS秋華賞と使いますが、いずれも最下位に敗れ、引退となりました。

 

血統構成

セレスティアルストームはイギリスで走り、G2のプリンセスオブウェールズSを勝ち、キングジョージセントレジャー、チャンピオンSで2着しています。途中から日本でも供用され、本馬や姉のナナヨーストームなどを輩出しています。

母ナナヨーアトラスは2勝し、オークスにも出走しています。繁殖入り後は本馬の他に4歳牝馬特別2着のナナヨーストーム、スーパーダートダービー2着のナナヨーウォリアーなどを輩出し、高い勝ち上がり率を見せています。

母の父バンブーアトラスは1982年の日本ダービー馬で4勝を挙げています。種牡馬入り後は菊花賞バンブービギン日経新春杯など重賞4勝のエルカーサリバーなど内国産種牡馬として多くの活躍馬を輩出しました。

 

私の注目ポイント

なぜ私がナナヨーウイングを取り上げたかをご紹介します。

1.オークスの時期に走る血統

 

本馬は忘れな草賞で距離のめどをつけ、オークスで2着に激走しましたが、母ナナヨーアトラスは忘れな草賞2着、400万下を1着してオークスに、姉ナナヨーストームは忘れな草賞1着、4歳牝馬特別2着してオークスに挑んでいます。

ただ母と姉はオークスで故障してしまい、実力を発揮できないレースとなりました。そしてそのレースを最後に引退しています。 

そのため、本馬の激走は2頭の後押しがあったのかもしれません。

 

2.メジャーではない血統だが、走る一族

 

比較的主流ではない血統で固められてはいるものの、一族は堅実に走っている印象があります。本馬と姉ナナヨーストームは父セレスティアルストームの代表産駒の2頭であり、弟のナナヨーウォリアーはグロウ産駒として中山大障害に勝ったランドパワーに次ぐ賞金獲得、子のナナヨーヒマワリエアジハード産駒3頭の中央重賞勝ち馬の1頭とこの牝系のポテンシャルの高さを感じます。

またこの血統から活躍馬が出てくるのではないかと期待しています。

 

3.オークスというレースの予想の難しさを教えてくれた馬

オークスは東京芝2400で行われます。ただ、それまでに2400のレースを経験してきた馬はほぼほぼおらず、1600以下の経験しかしてきていない馬が多いです。そのため、結果的に距離が長く敗れてしまう馬や逆に距離が持ち激走する馬がいたりと個人的には非常に予想が苦手なレースの一つです。

その印象がついたのが本馬の激走によるものかなと感じています。本馬の激走はいまだに記憶しています。この激走は距離適性や血統にあると考え、その後は忘れな草賞組を重視して見たり、血統を見てみたりと試行錯誤しているもののなかなかかみ合わない感じになっています。

 

 

 


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フサイチソニック

 

プロフィール

フサイチソニック

1997年3月24日 牡馬

父  デインヒル

母  パッショナリアII

母父  Beldale Flutter

厩舎 田原成貴(栗)→松田国英(栗)

6戦4勝

主な勝鞍 神戸新聞杯(G2)(阪神芝2000)

 

競走生活

JRA

3歳:6戦4勝 未勝利、知床特別(500万下)、HTB賞(1000万下)、神戸新聞杯(G2)

 ※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

体質が弱く、デビューは3歳7月のダート戦となりました。逃げて3着となります。

2戦目もダート戦を使われ圧倒的1番人気に推されますが、逃げ馬に届かず2着に敗れます。

3戦目に初めて芝に使われると逃げて上がり最速と圧勝します。

つづく知床特別では日本ダービーアドマイヤベガの全弟の良血アドマイヤボスとの一騎討ちとなりますが、半馬身差で退けます。

HTB賞でも後に秋華賞を勝つティコティコタック小倉大賞典を勝つタマモヒビキなどに先着して3連勝を挙げます。

そして迎えた神戸新聞杯日本ダービーアグネスフライト皐月賞馬で日本ダービーでハナ差2着のエアシャカールの再戦ムードではありましたが、2頭を2馬身引き離し、重賞初制覇を飾ります。

その後、天皇賞秋を目標に調整されていましたが、屈腱炎を発症し、引退となりました。

 

血統構成

デインヒルは主にイギリスで走り、スプリントCなど4勝を挙げ、イギリス2000ギニーでは3着しています。種牡馬入り後はシャトルサイアーの先駆けとなり、英愛、仏、豪でリーディングサイアーに輝いています。凱旋門賞キングジョージなどを勝ったDylan ThomasイギリスダービーNorth LightアイルランドダービーのDesert Kingなど活躍馬は枚挙に暇がありません。日本では外国産馬として秋華賞エリザベス女王杯を勝ったファインモーション札幌記念を勝ったエアエミネムなどを輩出しています。また、1年だけ種牡馬生活を送り本馬やブレイクタイムを輩出しています。後継種牡馬も多く、現在反映している系統の一つとなっています。

母パッショナリアIIは主にフランスで走り、G2ロワイヤリュー賞を勝っています。繁殖入り後は本馬の他に中山グランドジャンプ3着のフサイチゴールドフサイチファントム、アグネスハンサムなどを輩出しています。

母の父Beldale Flutterは主にイギリスで走り、G1のベンソン&ヘッジズゴールドCやフュチュリティSを勝っています。フュチュリティSでは後にイギリスダービーを10馬身差で勝利するShergarに勝利しています。種牡馬入り後はイタリアG1を勝ったJust a FlutterやG2ロワイヤリュー賞を勝ち本馬の母となるパッショナリアIIなどを輩出しています。

 

私の注目ポイント

なぜ私がフサイチソニックを取り上げたかをご紹介します。

1.世代最強となる可能性を秘めていた馬

神戸新聞杯は当時の世代トップ2の日本ダービーアグネスフライト皐月賞馬で日本ダービーでハナ差2着のエアシャカールトウカイテイオーの弟トウカイオーザ、重賞戦線でも活躍していたエリモブライアンローズSを勝ったニホンピロスワンを下したファイブソルジャー、堅実なフェリシタルなど多士済々なメンバーでした。これらを4角先頭でまとめて完封した走りを見たときには、2強が休み明けや遠征明けという事情があったにせよ、これは世代最強となる可能性があると思ったものです。

この後の天皇賞が楽しみでしたが、見ることができなかったのは残念でした。

また、神戸新聞杯当時はまだ条件馬であったタップダンスシチーやダート馬と思われていたアグネスデジタルとの対戦を見てみたかった気もいたします。

 

2.デインヒル産駒

この頃の外国産馬というと出走制限もあり、スピードは速いが、スタミナがなく、スプリント・マイルでの活躍馬が多かったように思います。そのような中でもデインヒル産駒は本馬の前にもNHKマイルC2着のツクバシンフォニーや京都芝2000mのレコードを記録したゼネラリストがおり、中距離も走るスタミナもあり、先行してきちんと抜け出すというレースセンスが高い馬が多い印象を持っていました。

本馬もイメージしていた通り成長していき、これからというところでケガしてしまったのは残念でした。

デインヒルは本馬が産まれた1年だけ日本で種牡馬生活を送っていて、この年の産駒だけの成績ではサンデーサイレンストニービンに次ぐ3位となっており、改めて世界の種牡馬のポテンシャルを見た気がしたものです。

 

3.フサイチの冠名

有名な馬主であった関口房朗氏の持ち馬です。1996年の日本ダービーフサイチコンコルドで有名になりましたが、本馬が活躍した2000年にはケンタッキーダービーフサイチペガサスを筆頭に弥生賞フサイチゼノン、重賞2勝しエリザベス女王杯2着のフサイチエアデール(前年も4歳牝馬特別など重賞2勝、桜花賞2着、エリザベス女王杯2着)と世界を股にかける活躍でした。あくまで私のイメージですが、高額な良血馬で活躍馬を輩出するという非常に注目を集める存在であったように思います。テレビなどにもよく出演されていたこともあり、ここまで強い印象を残した馬主は後にも先にもいないような気がいたします。

 


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トーセンホマレボシ

 

プロフィール

トーセンホマレボシ

2009年3月23日 牡馬

父  ディープインパクト

母  エヴリウィスパー

母父 ノーザンテースト

厩舎 池江泰寿(栗)

7戦3勝

主な勝鞍 京都新聞杯(G2)(京都芝2200)

 

競走生活

JRA

2歳:1戦0勝

3歳:9戦3勝 未勝利、大寒桜賞(500万下)、京都新聞杯(G2)

 

 

2歳暮れの阪神でデビューし、1番人気に推されますが、ヤマニンファラオに1/2馬身及ばず2着に敗れます。年明けの未勝利も後に金杯を制すエキストラエンドに及ばず2着に敗れます。

3戦目は先行馬が軒並み残る中、後方からレースを進め、上がり最速で初勝利を飾ります。

ゆきやなぎ賞は再びヤマニンファラオに敗れますが、大寒桜賞では先行して1番人気に応えます。

京都新聞杯は初めて1番人気とはなりませんでしたが、 鞍上にオーストラリアの名手クレイグ・ウィリアムズ騎手を迎え、2番手から抜け出し2分10秒0で快勝します。このタイムはコスモバルクの持つ日本レコードを更新するものでした。

つづく日本ダービーはハイペースの2番手を追走し、3番手以降を大きく突き放してレースを進め、直線でも粘りましたがディープブリランテフェノーメノの3着となりました。

その後、右前脚に屈腱炎を発症し、引退種牡馬入りとなりました。

 

血統構成

ディープインパクトは史上2頭目の無敗での三冠馬であり、古馬でも天皇賞春、宝塚記念ジャパンカップ有馬記念を制した名馬です。種牡馬入り後も三冠牝馬ジェンティルドンナ日本ダービーキズナマカヒキワグネリアン、ロジャーバローズなど数々のG1馬、重賞馬を輩出し、2012年から8年連続(2019年末時点)でリーディングサイアーに輝いています。

母エヴリウィスパーは競走馬としては未勝利でしたが、繁殖入り後は天皇賞秋を勝ったトーセンジョーダン日経新春杯2着、シリウスS2着のダークメッセージトーセンスターダムの母アドマイヤキラメキなどを輩出しています。

母の父ノーザンテーストは日本の競馬史を変えた名種牡馬です。競走馬としてはフォレ賞などを制覇しています。種牡馬入り後は通算10回のリーディングサイアー、17年連続リーディングブルードメアサイアーに輝いています。主な産駒としてはダービー馬ダイナガリバー天皇賞アンバーシャダイシンボリルドルフを破ったギャロップダイナなど枚挙にいとまがありません。

 

私の注目ポイント

なぜ私がトーセンホマレボシを取り上げたかをご紹介します。

1.京都新聞杯での日本レコード

比較的芝の状態が良く速いタイムが出やすい馬場であったとはいえ、先行して直線早めに先頭に立ち、押し切ったレースは強い内容でした。ダンツシアトルコースレコードコスモバルクの日本レコードを破ってものでした。

テレビで見ていましたが、そこまで流れが早い印象がなかったため、レコードという文字に驚いた記憶があります。

デビュー当初は勝ちきれない詰めの甘いレースが多かったため、先行して強い競馬というところに本格化を感じました。

前走の大寒桜賞は今でこそ出世レースの一つに挙げられ、近年は好走馬をチェックしていますが、この時が第一回でした。ここで勝ち切れたところに本格化の兆しがあったのかもしれません。

 

2.日本ダービーでの好走

京都新聞杯をレコードで勝利し、日本ダービーに駒を進めましたが、人気は中位の7番人気でした。個人的には本馬が穴を開けるのではないかと期待していました。

レースはゼロスが早いペースで逃げ、本馬が2番手で続き、3番手以降は大きく離れる展開となりました。直線先頭に立ってゴールを目指しますが、残り200mでディープブリランテに交わされてしまい、これは馬群に沈んでしまったと思っていましたが、粘りに粘って3着に入りました。

かなり強いレース内容で秋は楽しみと思っていましたが、その後の故障により引退となったのは残念でした。

 

3.好走馬の多い母系

祖母クラフティワイフから続く血統は非常に優秀で活躍馬は枚挙に暇がありません。

G1勝ち馬だけでも天皇賞秋、マイルCSのカンパニー、エミレースS、トゥーラクHのトーセンスターダム天皇賞秋のトーセンジョーダン中山グランドジャンプビッグテーストがおり、他にも重賞勝ち馬、重賞好走馬が多くいます。

重賞クラス以外でも非常に勝ち上がり率や好走率が高く、日本の馬場にあった堅実な名牝系と言えるのではないでしょうか。確実に自分の力は出す印象で相手関係を見て、このレースは勝負になりそうと思ったときは、かなりの確率で好走してくれる印象があります。

そのため、種牡馬入り後も期待はしていましたが、初年度からセントライト記念などを勝ったミッキースワローが出ています。ミッキースワローも毎回自分の力は出し切っている印象のある馬で、この血統ならではを感じさせられます。

 


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石山騎手と桜花賞~サイコーキララ

 

プロフィール

サイコーキララ

1997年5月1日 牝馬

父  リンドシェーバー

母  サイコーロマン

母父 モーニングフローリック

厩舎 浜田光正(栗)

7戦4勝

主な勝鞍 報知杯4歳牝馬特別(G2)(阪神芝1400)、エルフィンS(OP)(京都芝1600)、紅梅S(OP)(京都芝1400)

 

競走生活

JRA

2歳:1戦1勝 新馬

3歳:5戦3勝 報知杯4歳牝馬特別(G2)、エルフィンS(OP)、紅梅S(OP)

4歳:1戦0勝

※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

2歳暮れの阪神でデビューすると1番人気に石山繁騎手を背に1秒1差で圧勝します。

2戦目にはオープンの紅梅Sに出走し、3番手から抜け出すというソツない競馬で、のちの桜花賞チアズグレイスに勝利します。

3戦目はエルフィンS紅梅Sの再戦といったようなメンバー構成となりましたが、ここでも3番手から抜け出し、チアズグレイスに快勝します。

つづく4歳牝馬特別も先行して抜け出し、のちのオークスシルクプリマドンナを突き放す強い競馬で初重賞勝利を挙げ、無敗でクラシックに向かうことになりました。

桜花賞でも圧倒的1番人気に推されますが、やや出負けしてしまい、初めて後方からの競馬となります。後方から徐々に番手を上げていったものの、直線では伸びきれず4着に敗れてしまいました。

次のオークスでは距離不安がささやかれ、4番人気となります。1枠からインを突きますが、伸びきれず6着となります。

その後、屈腱炎もあり、1年3か月休養に入り、クイーンSで復帰しますが、最下位に敗れてしまいました。再び脚部不安が発症し、引退となりました。

 

 

血統構成

リンドシェーバーアメリカで産まれ日本で走った外国産馬です。朝日杯3歳Sではマルゼンスキーのレコードを破る快勝で最優秀3歳牡馬にも選ばれています。種牡馬入り後はスワンSギャラントアロークイーンSのレインボークイーンと重賞勝ち馬を輩出しています。

母サイコーロマンは5勝をあげています。繁殖入り後は中日スポーツ賞4歳Sで3着したサイコーデボネアなどを輩出しています。

母の父モーニングフローリックアメリカで走り、重賞を勝つなど11勝を挙げました。

日本での種牡馬入り後は安田記念スプリンターズSバンブーメモリースプリンターズSのキングフローリック、障害重賞3勝のアワパラゴンなどを輩出しました。

 

私の注目ポイント

なぜ私がサイコーキララを取り上げたかをご紹介します。

1.桜花賞と言えば思い出すファレノプシスの乗り替わり

石山騎手は本馬で4歳牝馬特別を勝利する2年前に同じ厩舎のファレノプシスチューリップ賞に挑んでいました。ファレノプシスもやはり無敗の3連勝でチューリップ賞に挑んでいましたが、状態の悪さやスタートでの出遅れ、馬群に包まれるといったこともあり、4着に敗れてしまいました。

当時、まだデビュー4年目の石山騎手でしたが、この敗戦をきっかけにファレノプシスからは乗り替わりとなってしまいました。その後、G1を3勝する名馬に成長しただけにかなり悔しい思いをされたのではないかと思います。

その2年後に同じ厩舎で3戦無敗という本馬が現れ、4歳牝馬特別をきっちりと先行抜け出しで勝利し、石山騎手とのコンビで桜花賞オークスと戦うことができました。前回の反省を生かした石山騎手も称えたいと思いますが、似たようなシチュエーションがやってきてリベンジの機会を与えてくれるところに競馬の神がいるのかなと思わされます。

4歳牝馬特別を勝った時は、私も我が事のように嬉しかった記憶はいまだにあります。

 

2.リンドシェーバー産駒

リンドシェーバー的場均騎手を背に朝日杯3歳Sをレコード勝ちし、その後すぐにシンジゲートが組まれたという逸話があります。その卓越したスピードとその父Alydarの系統パワーを受け継ぐ産駒が多く、産駒は芝での先行馬やダートでの活躍が多い印象があります。

本馬も先行して力強く抜け出すという競馬が得意であり、マイル以下のレースであれば強いレースができた可能性はありますが、脚部不安もあり、オークス後に1戦しかできなかったのは非常に残念でした。

 

3.春の2冠を制した馬に先着

 

紅梅SエルフィンS桜花賞チアズグレイスに、 4歳牝馬特別オークスシルクプリマドンナに先着しており、能力はかなり高かったとは思います。

1600mのエルフィンSは勝っていますが、それ以外は1400m以下のレースでもあり、短い距離であれば違う面も見られたのかもしれません。

桜花賞オークスでも大きくは負けていないだけにもう一つきっかけがあればと思ってしまいます。

 


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シルポートの母~スペランツァ

 

プロフィール

スペランツァ

1998年4月17日 牝馬

父  サンデーサイレンス

母  フジャブ

母父 Woodman

厩舎 山内研二(栗)

10戦2勝

主な勝鞍 500万下(札幌芝1200)

 

競走生活

JRA

2歳:5戦2勝 新馬、500万下

3歳:1戦0勝

4歳:4戦0勝

※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

函館開幕の新馬戦に登場し、藤田伸二騎手を背に圧倒的1番人気に推されるものの 前に行った馬を捉えきれずに3着と敗れます。

折り返しの新馬戦では、きっちりと逃げた馬を捉え初勝利を飾ります。

3戦目にはクローバー賞に挑み、前評判の高かった後の重賞馬ウインラディウスには敗れてしまいますが、2着を確保します。

続く500万下は1倍台の圧倒的人気に応え勝利しますが、その後のすずらん賞はオイスターチケットに逃げ切られ2着となりました。

この後、態勢が整わず5か月休養となり、年明けのクイーンCで復帰しますが、11着と敗れ、再び1年超の休養に入ります。

1000万下で2戦、降級して札幌での500万下で2戦しますが、すべて二桁着順となり、引退となりました。

 

血統構成

サンデーサイレンスは現役時代はケンタッキーダービープリークネスSの2冠を制し、BCクラシックも制しています。引退後は日本で種牡馬入りし、日本の血統図を塗り替えてしまうほどの大種牡馬となります。3冠馬ディープインパクトをはじめ、多数のG1馬、重賞勝ち馬を輩出し、勝利数は現時点で歴代1位となっています。

母フジャブはイギリスで走り1勝を挙げ、繁殖牝馬としてCaerleonの子を受胎した状態で日本に輸入されます(その子はサウンドオブハートカフェブリリアントの重賞馬を輩出しました)。本馬の他には4勝を挙げたテンカタイヘイなどを輩出しています。

母の父Woodmanは現役時代は5戦3勝でG3を2勝挙げています。引退後は初年度より米2冠のハンセル、仏2000ギニーヘクタープロテクターと大物を輩出します。その後もプリークネスSティンバーカントリー英1000ギニーのボスラシャム、エクリプスSのホークウィングを輩出し、日本でもスプリンターズSを勝ったヒシアケボノを輩出しています。

 

私の注目ポイント

なぜ私がスペランツァを取り上げたかをご紹介します。

1.2歳の北海道戦で輝いた山内厩舎

先日引退となった山内調教師の管理馬と言えば2歳の新馬戦開幕からガンガンと使っていくことで有名であり、ご多分に漏れず、本馬も開幕週から使われています。

北海道の2歳戦といえば、必ずと言っていいほどトレードマークのピンクのメンコをした馬が出ていたのではと思うほどです。

今でこそ2歳戦開幕から有力馬でも使っていくことがトレンドになっていますが、当時は早熟馬というレッテルを貼られることが多かったように記憶しています。

素人の見解にはなりますが、仕上がりや調子を維持して続けてレースを使える技術があることで馬の能力も引き上げられ、マイナーな血統の馬であっても活躍する馬が多かった印象です。それだけの技術があればこそ872勝という勝ち星を積み重ねられたのかなと思っています。

本馬は喉なりの影響もあり、2歳の北海道戦がハイライトという形になってしまいました。ただ、山内厩舎では長く活躍する馬もおり、本馬も順調であれば単なる早熟ではないと証明できたのではとも思っています。

 

2.PO馬としての思い入れ

以前、仲間内でPOGをやっておりました。競馬を楽しむというのが趣旨であったため、年間20頭持つというルールでやっていたのですが、正直私はあまり見る目がなく、数年間だったとはいえ、シーズン内のG1勝利は皆無でした。シーズン後にG1を勝った馬はいるのですが…

その2年目に選択したのが本馬でした。1位か2位で選択したように記憶しています。理由としては2歳戦から強い山内厩舎、気鋭の育成牧場ということだったように思います。

実際に2歳戦でデビューし、藤田騎手もかなりの手ごたえを口にしていたところからも今年は行けるのではないかと思ったものです。その後、喉なりの影響もあり、北海道戦での輝きが見られなくなってしまったのは、非常に残念に思いました。

無事であれば重賞でも活躍できたのではと思っておりましたし、今でもPO馬として思い出す馬の1頭です。

 

3.大逃げのシルポートを産んだ潜在能力

POGをやっていると選んだ馬が走ることは嬉しいことですが、その子や孫世代が活躍するというのも嬉しいものです。重賞戦線の馬柱に元PO馬の名前を見つけると、正直まったく関係はないのですが、非常に誇らしい気分になります。

当初、シルポートについては、ガンガン逃げる馬がいるなという程度の認識ではありましたが、その母が本馬であることを知った以降は思い入れが強くなり、外連味なく逃げる姿に注目して見ていました。

ホワイトマズルから引き継いだ部分も大きいとは思いますが、テンのスピードや重賞3勝した実績からも本馬も高い潜在能力を持っていたのではないかと思わされます。

 

 


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