孫は無敗2冠馬デアリングタクト~デアリングハート
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プロフィール
2002年3月9日 牝馬
母 デアリングダンジグ
母父 Danzig
厩舎 藤原英昭(栗)
26戦4勝
主な勝鞍 府中牝馬S(G3)2回、クイーンS(G3)、NHKマイルC(G1)2着、桜花賞(G1)3着、ヴィクトリアマイル(G1)3着
競走生活
・JRA
2歳:3戦1勝 未勝利
3歳:8戦0勝 NHKマイルC(G1)2着、桜花賞(G1)3着、フィリーズレビュー(G2)2着
5歳:6戦1勝 府中牝馬S(G3)、ヴィクトリアマイル(G1)3着
6歳:2戦0勝 TCK女王盃(G3)2着
2歳秋の新馬戦でデビューするも後に阪神ジャンプSを制するマヤノスターダムの2着に敗れます。つづく未勝利戦では先行して抜け出す危なげない競馬で初勝利を飾ります。3戦目にはG1の阪神ジュベナイルフィリーズに挑戦し、未勝利勝ち後で11番人気でしたが、5着と健闘します。
3歳を迎えると紅梅Sではエリモファイナルに、エルフィンSでは後の秋華賞馬エアメサイアに敗れます。そのため、フィリーズレビューでは7番人気と人気を落とします。勝った圧倒的1番人気のラインクラフトの末脚には屈しますが、前走で敗れたエアメサイア、世代屈指の末脚を誇るディアデラノビアを抑え、2着に入り、桜花賞に向かいます。
桜花賞では主戦の武幸四郎騎手がチューリップ賞を無敗で制したエイシンテンダーに騎乗したこともあり、ミルコ・デムーロ騎手が騎乗します。10番人気までさらに人気を落としますが、2番手から抜け出し、あわやの場面をつくり、ラインクラフト、シーザリオとはアタマ、クビ差の3着に健闘します。
次走はオークスには向かわず、NHKマイルCに向かいますが、桜花賞がフロックと考えられたのか再びの10人気で、さらにオッズも20.0倍から36.6倍に上がってしまいました。しかし、レースでは4番手からラインクラフトと抜け出し、再びあわやの場面を作ります。三度ラインクラフトに敗れる結果とはなりましたが、他の馬を抑え2着に入ります。
秋華賞に向け、クイーンSに出走すると春のG1戦線での活躍が評価され1番人気となりますが、レクレドールに敗れ4着となります。秋華賞も3番人気に推されますが、初の1秒以上の大敗となる12着に敗れ、その後のスワンSも2桁着順となってしまいました。
約5か月休養後の阪神牝馬Sも12着と大敗しますが、続くヴィクトリアマイル、エプソムCで復活の兆しをみせます。2年連続の出走となったクイーンSでは4角先頭から抜け出し、G1馬ヤマニンシュクル、のちのG1馬ブルーメンブラッドを抑えるという最強の1勝馬の称号を返上する強い内容で、未勝利以来の勝利を初重賞制覇で飾ります。
府中牝馬Sも2番手から抜け出し、サンレイジャスパー、ディアデラノビアを抑え重賞連勝となりました。
つづくマイルチャンピオンシップで13着と敗れると4か月半の休養に入り、ダービー卿CTで復帰するとヴィクトリアマイルで3着に入るなど、重賞戦線で好走を続けます。秋には府中牝馬Sを先行して抜け出す得意の形で連覇し、エリザベス女王杯に向かうものの12着と敗れ、ダート戦に矛先を向けます。クイーン賞3着、TCK女王盃2着と好走し、フェブラリーS7着を最後にクラブの規定もあり、引退となりました。
血統構成
父サンデーサイレンスは現役時代はケンタッキーダービー、プリークネスSの2冠を制し、BCクラシックも制しています。引退後は日本で種牡馬入りし、日本の血統図を塗り替えてしまうほどの大種牡馬となります。3冠馬のディープインパクトをはじめ、多数のG1馬、重賞勝ち馬を輩出し、勝利数は現時点で歴代1位となっています。
母デアリングダンジグは調査できた範囲では未出走だったようです。3歳で繁殖入り後はアメリカのスーパーダービーを勝ったEcton Park、武蔵野Sなどダート重賞3勝のピットファイターなど様々な種牡馬から活躍馬を輩出しています。
母の父Danzigは競走馬としては脚元の不安があり、一般戦のみの3戦3勝でしたが、種牡馬としては、大種牡馬ノーザンダンサーの最高の後継種牡馬の1頭に挙げられる大活躍をします。初年度からエクリプス賞最優秀2歳牡馬Chief's Crownを輩出し、その後もベルモントSのDanzig Connection、プリークネスSのPine Bluff等のダートの活躍馬、BCマイル連覇のLure、BCマイルのWar Chant等の芝の活躍馬を輩出します。アメリカ国外でも愛2000ギニーのShaadi、ジュライCのGreen Desert等の活躍馬を輩出しています。日本でも阪神3歳牝馬Sのヤマニンパラダイス、アベイユドロンシャンのアグネスワールド等を輩出しています。また、Green Desert、Danehill等の後継種牡馬も大活躍し、Danzig系と呼ばれるまでになっています。
私の注目ポイント
なぜ私がデアリングハートを取り上げたかをご紹介します。
1.最強の1勝馬
未勝利戦を勝ち上がった後は、阪神ジュベナイルフィリーズに挑戦して0秒3差の5着と健闘し、続けてオープンを2回使った以外は重賞に出走しつづけました。そのほとんどのレースにおいて先行して確実に抜け出すという堅実な走りを見せていました。
しかし、フィリーズレビュー、桜花賞、NHKマイルCの3連戦のように勝てそうと思ったところラインクラフトに最後に差されたり、先に抜け出されてしまったりとワンパンチ足りないところがあり、個人的には非常に応援していました。
2.クイーンSでの初重賞制覇時の強さ
1に挙げたように最強の1勝馬で終わってしまうのかと思っていたところ、4歳のクイーンSでは4角先頭からヤマニンシュクル以下を突き放して快勝し、その今までに見たことのない力強い走りに驚かされた記憶があります。
つづく府中牝馬Sも勝ち、ついに本格化したのかと思いましたが、その後は府中牝馬Sを連覇したものの、また元の善戦ウーマンに戻ってしまいました。
3.孫から無敗の2冠馬
繁殖入り後も期待して見ていたのですが、現時点では目立つ活躍馬が出ておらず、半分忘れかけていました。しかし、子のデアリングバードの子から2020年の桜花賞、オークスを無敗で制したデアリングタクトが産まれ、本馬の桜花賞で期待していた私としては非常に嬉しく思うとともに感慨深いものがありました。
こういった思い出が代々つながっていくところが、競馬の面白さの一つではないかと改めて感じているところです。