山内厩舎で鍛え抜かれた強さ~ダンツシリウス
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プロフィール
1995年3月29日 牝馬
父 タマモクロス
母 スイートニース
母父 ハードツービート
厩舎 山内研二(栗)
12戦3勝
主な勝鞍 チューリップ賞(G3)(阪神芝1600)、シンザン記念(G3)(京都芝1600)、阪神3歳牝馬S(G1)(阪神芝1600)3着
競走生活
・JRA
2歳:9戦1勝 未勝利、阪神3歳牝馬S(G1)3着
3歳:3戦2勝 チューリップ賞(G3)、シンザン記念(G3)
※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。
山内厩舎らしく函館開幕週の世代最初の新馬戦に登場し、1番人気に推されるも9着と大敗します。2戦目は5番人気に落ちますが、2着と巻き返します。その結果を受けて3戦目は圧倒的1番人気に推され、人気に応えて初勝利を挙げます。
4戦目の500万下ではロンドンブリッジとの逃げ争いに敗れ、5着となります。
5戦目には札幌3歳S(G3)を選びますが、14頭立て14番人気となり、結果もブービーから3馬身話された14着と大敗してしまいました。
りんどう賞は距離短縮と中団からの競馬で2着と巻き返し、ファンタジーS(G3)に挑みますが、再びロンドンブリッジに敗れ5着となります。
白菊賞を挟み、G1の阪神3歳牝馬Sにペリエ騎手を背に挑みます。 8番人気でしたが、レースは直線に入り、先頭に立ち、あわやの場面を作りますが、内からアインブライドに掬われ3着となりました。
このレースで自信をつけたのか、つづくシンザン記念では圧倒的1番人気のアグネスワールドを不良馬場とはいえ5馬身ちぎって圧勝します。
さらにチューリップ賞では素質馬ファレノプシス、阪神3歳牝馬Sで敗れたアインブライドなどを相手に中団から差して快勝します。
これを受けて桜花賞では1番人気に推されますが、レース中のケガもあり11着と敗れます。完治はしたものの再び骨折し、そのまま引退となりました。
血統構成
父タマモクロスは3歳秋に開花し、天皇賞春・秋、宝塚記念とG1を3勝を含む8連勝を挙げています。1歳下のオグリキャップとの芦毛対決も話題になりました。種牡馬入り後も内国産種牡馬の雄としてマイソールサウンド、カネツクロス、ラティールなどの活躍馬を多数輩出しています。
母スイートニースは未出走のまま繁殖入りしますが、同馬の他に東京障害特別(春)を勝ち、中山大障害(春)と(秋)で2着したマイネルトレドールを輩出しています。
母の父ハードツービートはフランスダービー、リュパン賞などG1を3勝しています。種牡馬入り後はディアヌ賞のDunetteや最優秀障害馬オンワードボルガなどを輩出しました。ブルードメアサイアーでもカナディアンインターナショナルSのフレンチグローリーや中山大障害のランドパワーなどを輩出しています。
私の注目ポイント
なぜ私がダンツシリウスを取り上げたかをご紹介します。
1.2歳戦からガンガン使う山内厩舎
山内調教師は先日引退となりましたが、山内厩舎と言えばピンクのベンツマークのメンコに2歳戦での強さが印象的です。
今でこそ期待馬が2歳の夏デビューすることが多くなりましたが、当時は秋の東京・京都でデビューするのが相場でした。それとは一線を画し、夏の北海道で多くの管理馬をデビューさせ、勝ち上がるとともにレースを使って鍛えていくというスタイルはPOGをやっていたものとしては、心強い存在として必ず1,2頭は入れたものでした。
本馬も世代最初の新馬戦に登場するなど仕上がりが早く、2歳戦だけで9戦しました。5戦目の札幌3歳Sで最下位と大敗した時には、まったく気にもかけていなかった馬が阪神3歳Sであわやの3着、強いレースで重賞連勝、桜花賞で1番人気に推されるとは想像もつきませんでした。
レースを使うごとにレースぶりに幅が出て、強さがついていった印象があります。
2.山内調教師&四位騎手コンビ
阪神3歳牝馬Sは正直ペリエ騎手ということで私は本命にしていたため、ややフロックかなという印象で続くシンザン記念は見ていました。するとアグネスワールドを相手に5馬身差の圧勝でした。この時の背が先日引退となった四位洋文騎手でした。
山内厩舎というと藤田伸二騎手とのコンビも印象深いものがありますが、四位騎手とのコンビも印象深いです。
このコンビで印象的なのが皐月賞も勝ったイシノサンデーとのコンビ。栗毛のサンデーサイレンス産駒、皐月賞後のダート参戦という特異なプロフィールを持つ馬でしたが、皐月賞では四位騎手に初G1をもたらしています。
今回山内調教師、四位騎手が引退ということでイシノサンデーとともに真っ先に思い出したのがダンツシリウスでした。12戦中4戦しかコンビを組んでいないのもの、叩き上げの強さやハマった時のレースぶりというところが2人にピッタリという印象が残っていたのかなと思います。
3.タマモクロス産駒
G1を3連勝したタマモクロスでしたが、種牡馬としてはサンデーサイレンス、トニービン、ブライアンズタイムと海外出身の種牡馬が全盛となる時期と重なってしまいました。そのため、多くの内国産種牡馬はその余波を受けて思っていたよりも活躍することができませんでしたが、タマモクロスはその中でも活躍した種牡馬の1頭と言えるかと思います。
父シービークロスに続く内国産種牡馬としてマイソールサウンド、カネツクロス、シロキタクロス、ラティールなど中央G1は勝てなかったもののG1、重賞戦線を沸かし続けた名脇役を多数輩出しました。長く活躍する個性派も多く、タマモクロス産駒を重賞の馬柱で見かけると常に応援はしていた記憶があります。
本馬は桜花賞で1番人気とG1制覇に近かった1頭だと思っていただけに故障してしまったのが、本当に残念でした。