ウォーエンブレム産駒の快速馬~ウォータクティクス
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プロフィール
2005年2月6日 牡馬
父 ウォーエンブレム
母 アドマイヤハッピー
母父 トニービン
厩舎 池江泰寿(栗)
14戦6勝
主な勝鞍 アンタレスS(G3)(京都ダ1800)、アルデバランS(OP)(京都ダ1800)
競走生活
・JRA
2歳:1戦0勝
3歳:4戦4勝 未勝利、500万下、1000万下、フェアウェルS(1600万下)
4歳:5戦2勝 アンタレスS(G3)、アルデバランS(OP)
5歳:3戦0勝
6歳:1戦0勝
2歳秋に生涯唯一の芝戦となる京都芝1800でデビューすると軽快に逃げますが、3着に惜敗します。
両前脚のソエのため5か月休養し、福島のダート戦で復帰し、持ったまま2着に2秒1差で圧勝し初勝利を飾ります。
再び休養に入り、秋の京都で復帰すると500万下、1000万下、中山のフェアウェルSとすべて4馬身以上の差をつけて圧勝します。
年が明けてオープン入り初戦となったアルデバランSも圧倒的な1番人気に推され、最後はジャパンダートダービーを制していたカフェオリンポスにハナ差まで詰め寄られますが、勝利し、ダートで負けなしの5連勝を遂げます。
初の重賞挑戦となったアンタレスSは1番人気こそ既に重賞3勝していたワンダースピードに譲りましたが、これまで同様軽快に逃げて1分47秒8のJRAレコード(日本レコードタイ)で快勝します。
続いて東海Sに挑みますが、1周目のゴール板前から先頭に立つという作戦を採ったものの、出入りの激しい展開となり、2周目3角から失速してしまい、大差の殿負けとなりました。
復活を期したエルムSは出走取り消しとなり、白山大賞典に参戦しますが、東海S同様に3角で失速し、大敗となります。その後、連勝していた相性の良い京都ダ1800を中心に4戦しますが、先手を取れずにいずれも5着以下に敗れてしまいます。
1年の休養を挟み再度京都ダ1800のアンタレスSを使い、久々に4角を先頭で迎えますが、10着に敗れてしまい、引退となりました。
血統構成
父ウォーエンブレムはケンタッキーダービー、プリークネスSの米2冠を制しています。日本で種牡馬入りしましたが、産駒は好成績を収め、秋華賞のブラックエンブレム、阪神ジュベナイルフィリーズのローブティサージュ、川崎記念のオールブラッシュなど活躍馬を輩出しています。
母アドマイヤハッピーはオークスを勝ちエアグルーヴを輩出したダイナカールの孫にあたり、5戦目に秋華賞に挑戦するなど4勝を挙げています。繁殖入り後は、本馬の他に重賞でも好走したキタサンアミーゴ、ハッピーモーメントを輩出しています。
母の父トニービンはイタリア調教場として27年ぶりに凱旋門賞を制覇し、ミラノ大賞典やジョッキークラブ大賞を制しています。日本で種牡馬入り後はリーディングサイアーにも輝き、ダービー、ジャパンカップを勝ったジャングルポケット、天皇賞秋、オークスを勝ったエアグルーブ、ダービーのウイニングチケット、2冠馬ベガなど多数の活躍馬を輩出し、父系、母系としても日本競馬に大きな影響を与えています。
私の注目ポイント
なぜ私がウォータクティクスを取り上げたかをご紹介します。
ウォーエンブレムは先日亡くなってしまいました。好みの繁殖牝馬以外との種付けを拒否したため、産駒はこのクラスとしては非常に少ないですが、出走した7割超の産駒が勝ち星を手にし、年次別のAEIでも3を超える好成績を収めています。
サンデーサイレンスの5点台は別格としてもディープインパクトは3点台後半、トニービンやブライアンズタイムが2点台後半であることからもチャンピオンサイアークラスのポテンシャルを持っていたのではないかとも思います。
実際に1年目は4頭、3年目は5頭しか産駒がいないにも関わらず、すべてが勝ち上がっており、2年目も27頭出走して、20頭が勝ち上がり、7頭も重賞を制覇しています。
Northern DancerやHail to Reasonを持たないMr.Prospector系として活躍が期待できたとも思われ、もっと産駒が多ければ、また違った勢力図になっていたのかもしれないと思わされます。
2.逃げて圧勝の快速ぶり
連勝時は自らレースを作って好タイムで勝つという非常に強い内容でした。特にJRAレコードとなったアンタレスSでは、序盤はスピードの違いで先頭に立ち、4角では後続は早くから仕掛けているものの持ったままで迎え、直線突き放して勝つという内容でした。正直これでJRAレコードと表示された時には、プレミアムサンダーの時とは違う驚きがありました。
こんなに悠々JRAレコードが更新されてしまうのかと末恐ろしい感じがしたものです。
3.ダイナカールにつながる名牝系
改めて血統を見てみると名牝系であるダイナカールの曾孫にあたります。ダイナカール自体、オークスを勝った名牝ではありますが、エアグルーヴ~アドマイヤグルーヴ~ドゥラメンテと4世代にわたるG1馬のラインやG1馬であるオレハマッテルゼ(本馬の母アドマイヤハッピーの弟)、ルーラーシップ(エアグルーヴの子)など現在の競馬界を引っ張る牝系の一つであると言えるかと思います。
そのような血統に産まれた本馬も期待にたがわぬ走りを見せてくれました。惜しむらくは、東海Sでの大敗から立ち直ることができなったために、競走馬としても種牡馬としても全ての力を見ることができなかった点でしょうか。
どれくらいのポテンシャルがあったのかは見てみたかった気がします。