懐かしのマイナー馬たち

懐かしの競走馬たち

あまり取り上げられることのない思い出の競走馬をきままに語ります。

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トウカイテイオー産駒最初の勝ち馬~ノボエイコーオー

 

プロフィール

ノボエイコーオー

1996年4月22日 牡馬

父  トウカイテイオー

母  ハミングダンサー

母父 ヤマニンスキー

厩舎 高松邦男(美)

9戦1勝

主な勝鞍 新馬(札幌芝1200)

 

競走生活

 

JRA

2歳:3戦1勝 新馬、デイリー杯3歳(G2)2着

4歳:6戦0勝

 

※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

トウカイテイオー初年度産駒として札幌芝1200でデビューすると1倍台の1番人気に応え、1秒3差の圧勝を飾ります。

2戦目には札幌3歳S(G3)が選ばれ、2番人気に推されますが、勝ったマイネルプラチナムとは1秒0差をつけられ4着に敗れます。

つづいて挑戦したデイリー杯3歳S(G2)では少し人気を落としますが、のちに朝日杯で2着となるエイシンキャメロンを相手に先行して粘り切って2着となります。

その後、1年半の休養を挟み挑戦したのが日経賞(G2)です。さすがに休み明けでは厳しく、大差の最下位にとなってしまいます。つづいて天皇賞春(G1)に挑戦しますが、テイエムオペラオーの前にここも大差の最下位となります。

その後は、自己条件にもどり2戦した後、900万下に降級となります。STV杯(900万下)、みなみ北海道S(900万下)と連続好走し、次は勝てるのではないかと思われたところで再びの休養に入ってしまい、そのまま引退となってしまいました。

 

血統構成

トウカイテイオーは祖父の3冠馬シンボリルドルフの初年度産駒として親子2代の無敗の2冠馬となります。骨折により3冠はなりませんでしたが、その後にジャパンカップ有馬記念を制覇しています。種牡馬としてはトウカイポイントヤマニンシュクルストロングブラッドのG1馬を輩出しています。

母ハミングダンサーは中央で2勝しています。繁殖入り後は4勝を挙げたチアリーダーなどを輩出しています。

母の父ヤマニンスキーは競走馬としては5勝を挙げた程度でしたが、そのうちの1勝が安藤勝己騎手の中央での初勝利となりました。Nijinsky×Buckpasserというマルゼンスキーと同じ配合という良血から種牡馬入りすると天皇賞皐月賞ヤエノムテキオークスライトカラーを輩出するなど成功しました。

 

私の注目ポイント

なぜ私がノボエイコーオーを取り上げたかをご紹介します。

1.私が初めて馬券を買った馬

以前から競馬を見ていたものの馬券を買ったことがなかった私は突如思い立ってウインズに行きました。そのレースがデイリー杯3歳Sでした。エイシンキャメロンが強いことは知っていたため、軸はすんなりと決まり、相手をと思ったときに吸い寄せられるようにノボエイコーオーを選んでいました。他に何点買ったのかは覚えていませんが、なぜか配当の1,300円はいまだに覚えています。

今から考えるとなぜこの馬を買ったのかは、良くわからないところはあるのですが、ビギナーズラック様様というところでしょうか。

おかげで馬券も含めてどっぷりと競馬に漬かることになりました。

 

2.トウカイテイオー産駒初勝利

トウカイテイオーシンボリルドルフの初年度産駒ということで、トウカイテイオーも初年度産駒には期待がされていました。しかし夏競馬で勝つことができず、都合8戦目となるノボエイコーオーの新馬まで初勝利は待つことになってしまいました。

やや晩成の色が強かったのか年が明けてからは、多く現れるようになります。

重賞を勝ったのは4年目のタイキポーラ、G1を勝ったのは5年目のトウカイポイントと少し時間がかかってしまいましたが、中距離での産駒の力強い走りは印象的でした。

 

3.1勝馬天皇賞挑戦

デイリー杯3歳Sで馬券を獲った後、今ほどインターネットが発達していなかったこともあり、まったく動きがわからなかったため、引退してしまったのかと思っておりました。

すると1年半後の日経賞で名前を見て、まだ現役だったのかとびっくりしたのも束の間、天皇賞春にも出走していてさらに驚かされました。

フルゲート割れしたのが、出走できた要因かと思いますが、やはり厩舎でも期待された存在だったのかなと思います。

万全ならという思いもありますが、たらればになりますので、この辺で終わりとさせていただきます。(たらればの多いブログではありますが…)

 

マスクトヒーロー

 

プロフィール

マスクトヒーロー

2008年4月18日 牡馬

父  ハーツクライ 

母  ビハインドザマスク

母父 ホワイトマズル

厩舎 林和弘(北)→新開幸一(美)

13戦7勝

主な勝鞍 師走S(OP)(中山ダ1800)、北総S(1600万下)(中山ダ1800)

 

競走生活

・北海道

3歳:2戦2勝 「がんばれ!ホッカイドウ競馬」賞、C4

JRA

3歳:2戦1勝 500万下

4歳:3戦3勝 500万下、多摩川特別(1000万下)、北総S(1600万下)

5歳:2戦0勝

6歳:3戦1勝 師走S(OP)

7歳:1戦0勝

 

体質が弱く中央でデビューすることができず、北海道に移籍しました。デビューも3歳の9月と遅れてしまいましたが、2着に2秒2差をつけて圧勝します。2戦目も0秒7差で快勝します。

その後、中央に移籍すると500万下をここも0秒5差で快勝します。続く1000万下ではスタートで出遅れてしまい、初の敗戦となり、骨折もしてしまいます。

9か月後に復帰すると500万下、多摩川特別(1000万下)、北総S(1600万下)と3連勝で一気にオープン入りします。

半年開けた大沼S(OP)ではいつもの先行力がなく大敗します。さらに5か月開けた霜月S(OP)でも同様の競馬で4着となります。

またさらに3か月開けたポルックスS(OP)ではここまで4戦4勝の横山典弘騎手に手が戻り、先行して2着となります。

9か月開けたブラジルC(OP)では先行したものの休み明けか距離が長かったのか7着となります。続く師走S(OP)では得意の中山ダ1800で横山典弘騎手に戻り、久々の勝利を挙げました。

重賞初挑戦となったマーチS(G3)では1番人気に支持され、勝ち馬とは同タイムの3着となり、7歳とは言え力のあるところを見せましたが、4度目の骨折が判明し、残念ながら引退となりました。

 

血統構成

ハーツクライはダービー2着など早くから素質を見せていましたが、古馬になってからの宝塚記念ジャパンカップでも2着と追い込んでは届かずというレースぶりでした。それが有馬記念ではルメール騎手を背に珍しく先行すると無敗の3冠馬ディープインパクトに初黒星を付け、G1初制覇を果たします。続くドバイシーマクラシックは逃げ切り、キングジョージでも一瞬先頭に立つ惜しい3着と一気に素質が開花します。その後、喉なりの症状が出て、ジャパンCに出走後に引退となりました。種牡馬入り後はジャスタウェイリスグラシューワンアンドオンリーなど多くの活躍馬を輩出しています。

ビハインドザマスクは、マスクトヒーロー同様にデビューが旧4歳夏と遅れるも1年後にはオープンを勝つなど常に上位の上がりを記録する末脚で高い資質を見せていました。重賞初挑戦となったセントウルS(G3)を4連勝で制覇するもG1の厚い壁には跳ね返されてしまいます。その後はスワンS(G2)、京都牝馬S(G3)を制覇しています。繁殖入り後は短距離重賞で活躍したオメガヴェンデッタなどを輩出しています。

母の父ホワイトマズルダンシングブレーヴのヨーロッパ時代の代表産駒の1頭です。イタリアダービーやドーヴィル大賞に勝ち、凱旋門賞キングジョージで2着しています。日本での種牡馬入り後は天皇賞イングランディーレ菊花賞アサクサキングススマイルトゥモローシャドウゲイトニホンピロアワーズなど中長距離のG1馬をはじめ、ビハインドザマスクシルポートなどの短距離・マイル馬など幅広い距離で活躍する馬を出しています。また大逃げのイングランディーレシルポート、追い込みのビハインドザマスクなど個性派が多いのも特徴かと思います。

 

私の注目ポイント

なぜ私がマスクトヒーローを取り上げたかをご紹介します。

1.ハーツクライ産駒のダート馬

アドレスにheartscryと入っているように一番好きな馬であるハーツクライは、現在ではダートに強い馬もポツポツと輩出していますが、この頃は芝専門とも言えるぐらい芝に良績が偏っていました。ヌーヴォレコルトワンアンドオンリージャスタウェイと東京のG1を3週連続で勝ったのもこの頃です。

そのような中、初めてダートで1600万下を勝ち、オープンまで上がったのが、この馬です。それまでは、1000万下を勝ったドラゴンヴォイスがいる以外は未勝利、500万下での勝ち星でした。

私もハーツクライ産駒はダートは全く走らないと思いつつあったところでしたので、ダートで快進撃を続けるマスクトヒーローには注目し、ハーツクライ産駒の幅を広げる活躍に期待していました。

この活躍に刺激を受けたのかはわかりませんが、マスクトヒーローが1600万下を勝った2012年までの3年でダートでは26勝だったのに、2013年は24勝、2014年は48勝と勝ち星が伸びています。併せて出走回数も増加しています。

ダートの大物が出るには至っていない現状ですが、ストロングサウザー佐賀記念マーキュリーCを制するなどダートも走れるという姿を見せてくれたマスクトヒーローには、個人的には非常にうれしかった記憶があります。

 

2.横山典弘騎手とのコンビ

中央では、たまたまの巡りあわせなのかもしれませんが、横山典弘騎手とのコンビでは7戦5勝、2着1回、3着1回とすべて馬券に絡みましたが、他の騎手では4戦ですべて4着以下という結果でした。

常に脚元の不安が付きまとった状態でレースをしていたこともあり、馬の行く気に任せる横山騎手と合っていたのかもしれません。

 

3.未完の大器

骨折など脚元の不安が多く、7歳まで走ったもののわずかに13戦しかしていません。負けたレースも休み明けやその後に骨折が判明するなど万全ではない中で7勝とオープンまで勝ち上がりました。

有馬記念を勝ったハーツクライを父に、スワンSなどを勝ったビハインドザマスクを母に持つということで芝での活躍が期待され、おそらくそれだけの資質はあったのではないかとも個人的には思うのですが、脚元の不安からダートのみを走ったものの素質の高さを見せつけてくれました。

万全な状態で順調にレースを使えていたら、どれだけ強い馬になっていたのか、芝での走りはどうだったのか妄想は広がるばかりです。

弟に芝短距離の重賞戦線で活躍したオメガヴェンデッタ、近親にヴィクトリアマイルコイウタベールドインパクトアグネスアークなどがいる血統背景からも芝でも強かったのではないかとも思ったりはします。

たらればにはなってしまいますが、未完の大器という言葉にふさわしい馬のような気がいたします。

ニシノミライ

 

プロフィール

ニシノミライ

2003年4月17日 牝馬

父  セイウンスカイ 

母  ニシノフラワー

母父 Majestic Light

厩舎 手塚貴久(美)

6戦0勝

主な勝鞍 なし

 

競走生活

JRA

3歳:6戦0勝

 

デビューは3歳の春の新潟と遅れてしまいましたが、初出走ながら上がり3ハロンが2番目を記録し、勝ったソアリングピアスとも0.3秒差と今後に期待をいただかせる内容でした。

しかし、先行してみたり、ダート短距離戦を使ったり、陣営も試行錯誤を続けましたが、好走すれど勝てずという結果になりました。

未勝利戦の番組がなくなったタイミングで父母ともに西山牧場の活躍馬という血統から繁殖入りとなりました。

 

血統構成

セイウンスカイは今は非常に少なくなったHyperion系のシェリフズスター産駒になります。マイナーな血統ながらもサンデーサイレンス産駒のスペシャルウィークダンシングブレーヴ産駒のキングヘイローを相手に皐月賞菊花賞を勝利しています。おなじシェリフズスター産駒のセイウンエリアとワンツーした日経賞は当時は胸が熱くなるレースでした。種牡馬としてはマイナーな血統ということもあり、あまり産駒はいませんが、オープンでも走ったニシノプライドなどを出しています。 

ニシノフラワー桜花賞スプリンターズS阪神3歳牝馬SとG1を3勝している名短距離馬でした。繁殖入り後もマイラーズC2着のニシノマナムスメ、ニシノデューなど堅実な仔出しでした。

母の父Majestic Lightはアメリカで走り、スワップS、マンノウォーSなどG1を4勝しており、無敗の2冠馬Majestic Princeの代表産駒の1頭に数えられます。種牡馬としてもケンタッキーオークスCCAオークスのLite Lightや仏オークスのLacoviaなど多くのステークスウィナーを輩出しています。

 

私の注目ポイント

なぜ私がニシノミライを取り上げたかをご紹介します。

1.セイウンスカイ産駒

セイウンスカイはマイナーな血統ながらも逃げ馬として2冠を制した名馬です。同期には大種牡馬サンデーサイレンス、名牝系シラオキの血を引くスペシャルウィーク、超良血馬キングヘイロー外国産馬エルコンドルパサーグラスワンダーと強豪揃いでしたが、横山典弘騎手の素晴らしいペース配分で強いレースを見せてくれました。2冠とも素晴らしいレースでしたが、個人的には古馬相手に逃げ切った京都大賞典が非常に衝撃的でした。

種牡馬としては、血統的背景や引退時期もあり、活躍馬を出すことができなかったのは残念でした。

 

2.ニシノフラワー産駒

ニシノフラワー桜花賞などを勝った名牝ですが、繁殖入り後はコンスタントに勝ち上がる産駒を出すものの自身を超えるような産駒は出ませんでした。スピードに優れた馬でしたので、当時競馬初心者だった私はスピードは簡単に受け継げるものと思っていたのですが、そんな甘いものではないと思い知らされた記憶があります。今思えば浅はかな考えで恥ずかしいですが…。

晩年に主戦だった河内洋厩舎のニシノマナムスメが出てきたときには、やっと良い馬が出てきたものだと喜んだものです。

 

3.西山牧場にとって大事な血統

セイウンスカイニシノフラワーというのは西山牧場の代表生産馬と言えるのではないかと思います。その2頭を配合するというのはオーナーブリーダーならではであり、期待の高さがうかがえます。ただ、残念ながら本馬は未勝利で終わってしまいました。

それでもこの血統を大事に育てていった結果、孫の世代から札幌2歳S東京スポーツ杯2歳Sを制するニシノデイジーが出てきたときには、血統表にセイウンスカイニシノフラワーが残っていると非常にうれしく思いました。このあたりがブラッドスポーツの良いところではないかと感じています。

ノーザンテースト最後の大物と呼ばれた馬~シティースケイプ

 

プロフィール

ティースケイプ

1997年2月11日 牡馬

父  ノーザンテースト 

母  ダイアモンドシティ

母父 Mr. Prospector

厩舎 矢野進(美)

8戦2勝

主な勝鞍 葉牡丹賞(500万下)(中山芝2000)

 

競走生活

JRA

3歳:3戦2勝 新馬葉牡丹賞(500万下)

4歳:3戦0勝

5歳:2戦0勝

※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

秋の東京でデビューし、当時あった折り返しの新馬戦で初勝利を挙げました。

続く葉牡丹賞も快勝し、木幡初広騎手に300勝目をプレゼントします。

ここまで3戦2勝ですべて上がり最速ということもあり、この年で種牡馬を引退することになったノーザンテースト最後の大物と呼ばれるようになります。

そして重賞初挑戦となった京成杯では1番人気に支持されました。しかし先行したものの7着と敗れてしまいます。その後、骨折が判明してしまい、休養に入りました。

秋に復帰するも900万下で4戦して掲示板にも載ることができず、そのまま引退となってしまいました。

 

 

血統構成

ノーザンテーストは日本の競馬史を変えた名種牡馬です。競走馬としてはフォレ賞などを制覇しています。種牡馬入り後は通算10回のリーディングサイアー、17年連続リーディングブルードメアサイアーに輝いています。主な産駒としてはダービー馬ダイナガリバー天皇賞アンバーシャダイシンボリルドルフを破ったギャロップダイナなど枚挙にいとまがありません。

ダイヤモンドシティ英米で14戦5勝を挙げますが、大きなレースでの勝利はありません。本馬の他にはサマーナイトシティや南関東で活躍したタキオンスピリットを輩出しています。サマーナイトシティからはサダムパテック、ジュールポレールの2頭のG1馬が出ています。

母の父Mr. Prospectorは世界の競馬史に影響を与えた大種牡馬です。初期のFappiano,Conquistador Cieloから晩年のKingmanbo、Fusaichi Pegasusまで大物を出し続けました。その血統は子、孫世代の後継種牡馬、母系に入っても影響力を発揮し、世界各地でこの血を含む馬が活躍し続けています。

 

私の注目ポイント

なぜ私がシティースケイプを取り上げたかをご紹介します。

1.ノーザンテースト最後の大物

ノーザンテーストは、本馬がクラシック世代となる2000年に種牡馬を引退することになるのですが、シティースケイプの前の世代の1996年産まで20世代連続で重賞勝ち馬が出ていました。一方でサンデーサイレンストニービンリアルシャダイの台頭により、初期に比べG1クラスの馬が少なくなっており、この前後の世代ではノーザンテースト最後の大物と呼ばれる産駒が多く出現し、大物の出現が待ち望まれていました。有名なところでは朝日杯3歳Sで1番人気に支持されたクリスザブレイブもその一頭です。

特に本馬は父と同じ栗毛であり、また関東のエース候補への期待もあり、ノーザンテースト最後の大物と一番言われた馬のような気がします。

 

2.活躍馬の出た母系

弟に川崎で圧勝を続けたタキオンスピリット、妹の子にマイルCSなど重賞5勝サダムパテックヴィクトリアマイルを勝ったジュールポレールがいるなど活躍馬が出ている母系です。

そのため、もう少しうまくかみ合っていたら、重賞でも活躍できたのではないかとも思ってしまいます。

 

3.グッドルッキングホース

京成杯で敗れたにも関わらず、毎年京成杯が来るたびに思い出す1頭であったりします。それはなぜだろうかと考えるとノーザンテースト産駒らしいきれいな栗毛や大きな流星が印象に残っていて、いまだに思い出すのかなと考えています。

 

バンデ

 

プロフィール

バンデ

2010年4月11日 牡馬

父  Authorized 

母  Logica

母父 Priolo

厩舎 矢作芳人 (栗)

12戦5勝

主な勝鞍 札幌日経OP(OP)(札幌芝2600)、菊花賞(G1)(京都芝3000)3着

 

競走生活

JRA

3歳:8戦3勝 未勝利、積丹特別(500万下)、兵庫特別(1000万下)、菊花賞(G1)3着

4歳:4戦2勝 御堂筋S(1600万下)、札幌日経OP(OP)、阪神大賞典(G2)3着

 

 

デビュー戦は芝2000を使われましたが、血統背景を意識したのかその後は徹底的に2200以上のレースを使われることになります。3戦目にシュタルケ騎手を背に芝2400の未勝利を勝利しました。

続けて青葉賞に挑戦しますが、ヒラボクディープの前に15着と敗れてしまいました。

4か月休養後、積丹特別では驚くべきパフォーマンスを見せます。なんと2着に2.8秒もつけ圧勝します。これはヒカルタカイが昭和43年の天皇賞(春)で見せた着差と同じ芝の平地レースでの最大着差となります。

この結果を受けて菊花賞の穴候補になりましたが、セントライト記念ユールシンギングと0.3秒差の6着と敗れてしまい優先出走権を得ることができませんでした。そのため、中1週で兵庫特別に臨むと積丹特別を彷彿とさせるように1.0秒差の逃げ切り勝ちを収めます。

そして迎えた菊花賞では重賞実績がないにも関わらず、英ダービー馬の血統や長距離戦での逃げっぷりを評価され、3番人気に支持されます。レースでもマイペースで逃げることができましたが、エピファネイアにマークされ直線では交わされてしまいますが、粘りに粘って3着を確保しました。

明けて4歳になると御堂筋Sを逃げ切り、続く阪神大賞典でもうまく逃げたものの、その時点で4冠馬だったゴールドシップ、のちのG1馬アドマイヤラクティに交わされ3着となります。

夏の札幌日経OPを前年の積丹特別同様に逃げ切って圧勝するとオーストラリアのコーフィールドカップメルボルンカップを目指しオーストラリアに遠征します。しかしながら右前脚の故障を発症し無念の回避となってしまいました。その後は復帰することができずに引退することになってしまいました。

 

血統構成

父Authorizedは英ダービーインターナショナルSを勝利しています。英ダービーでは名ジョッキー ランフランコ・デットーリ騎手に初の英ダービーの勝利をもたらしました。種牡馬としては英愛だけではなく、シャトル種牡馬として豪州、チリでも共用され、プリティーポリーSのAmbivalentやザBMWのHartnellなどの活躍馬を各地で輩出しています。

母Logicaは主に英国で走り、8戦1勝です。繁殖入り後はMuhtathirとの間に香港ヴァーズ連覇、マンノウォーSのDoctor Dinoを輩出しています。

母の父Prioloはムーラン・ド・ロンシャン賞ジャック・ル・マロワ賞ジャン・プラ賞を勝った名マイラーです。種牡馬としても仏2000ギニーのSendawar、サンクルー大賞のMirioを輩出しました。

 

私の注目ポイント

なぜ私がバンデを取り上げたかをご紹介します。

1.日本では成功例の少ないMontjeuの系統

Authorized~Montjeu~Sadler's Wellsと遡る血統で、Sadler's Wells系は日本ではオペラハウス以外はあまり活躍馬が出ていない状況です。エルコンドルパサーを破り凱旋門賞を制覇したMontjeuについても例外ではなく、基本的に外国産馬しかいないということはありますが、Montjeu産駒ではサトノコクオーがマーチSで3着に好走したくらいの実績になっています。もちろん欧州では英愛のクラシックホースを多数輩出しており、レース適性が異なるということを如実に表しているのではないかと思います。

そのような中、バンデが外連味のない逃げで好走する姿を見ているとMontjeu系として初の重賞を勝てるのではと期待していました。

 

2.未完の大器

オーストラリア遠征での故障により4歳秋で引退になってしまったのですが、4歳になってさらに強さが増し、オーストラリア遠征さえも無謀ではないと個人的には感じておりました。Authorizedはオーストラリアでも活躍馬を出しており、適正もあるのではないかと感じていました。それだけに故障による回避は本当に残念でした。

そのまま引退となってしまったのですが、まだまだ奥がありそうな感じはあり、返す返すも残念でした。関係者の方々もそのように感じられたのか種牡馬入りすることができ、2020年に産駒がデビューするということで楽しみにしたいと考えています。

 

3.松田大作騎手とのコンビ

今回改めて戦歴を調べていて気付いたのですが、松田騎手とは4戦しかしておらず、しかも菊花賞の前の兵庫特別で初めてコンビを組んでいました。いかに私がレースをきちんと見ていなかったのかがバレてしまい、お恥ずかしい限りですが、個人的には最初からコンビを組んでいたのではないかと思うくらい菊花賞でのレースぶりはよかったように感じています。(本馬とのコンビということでプラス補正が入っているのかもしれませんが…)

松田騎手は当時まだ重賞未勝利でなかなか縁がなかったのですが、本馬に載った2013年は飛躍の年になり、前年の約2倍の勝ち星、特別勝ちを達成しています。本馬で重賞を勝てるのではないかと思っていたのですが、2015年まで待つことになってしまいました。

エイシンサンルイス

 

プロフィール

エイシンサンルイス

1996年2月1日 牡馬

父  Conquistador Cielo

母  Macharoundtheclock

母父 Devil's Bag

厩舎 太宰義人(栗)→屋敷和彦 (兵)

18戦6勝

主な勝鞍 ギャラクシーS(OP)(阪神ダ1400)、コーラルS(OP)(阪神ダ1400)、菩提樹S(OP)(阪神芝1400)

 

競走生活

JRA

2歳:2戦1勝 未勝利 

3歳:6戦3勝 ギャラクシーS(OP)、菩提樹S(OP)

4歳:6戦1勝 コーラルS(OP)、プロキオンS(G3)2着、根岸S(G3)2着、シリウスS(G3)2着

5歳:1戦0勝

・兵庫

6歳:3戦1勝 東条湖特別

※年齢は当時は旧年齢ですが、現在の表記に合わせています。

 

2戦目にダート1400を使われると生涯のパートナー太宰啓介騎手を背に持ったままで3.1秒差の楽勝で初勝利を挙げます。

続く500万下も圧勝し、オープンに昇級しますが、ブルーコマンダータイキヘラクレス、マイシーズンなどがおり、人気に応えることができませんでした。昇級後3戦目にはデビュー以来の芝となる菩提樹Sを使うとヴィエントシチーやゴールドティアラを相手に逃げ切り勝ちを収めます。

3か月の休みを挟み、古馬との初対戦となるギャラクシーSも人気薄ながら先行抜け出しで勝利し、 さらなる飛躍が期待されました。

神無月S、すばるSを惜敗して迎えたコーラルSではのちのG1馬であり、ダートの名種牡馬となるサウスヴィグラスの追撃を抑えて勝利とダート短距離の強豪の一角を占める存在感となってきました。

しかし、ここに立ちはだかったのが、ダートの女傑ブロードアピールです。栗東Sでは完璧に抜け出したものの初ダートのブロードアピールに鬼脚で勝利をさらわれます。

続くプロキオンSでは同じようにゴールドティアラに差されてしまいます。

そしてブロードアピールとの再戦になる根岸Sは、いまだにとんでもないレースとして知られるレースとなります。いつものようにスタート良く飛び出したエイシンサンルイスは宇都宮のベラミロードを振り切り、追い込んできたノボジャックを抑え先頭でゴールに向かい、勝ったと思ったところ、画面の端から1頭だけ回転良く飛んでくる馬がいました。それがブロードアピールでした。再び敗れてしまいました。

シリウスSガーネットSと勝つことができず、兵庫に移籍し1年9か月の休み明け後に3戦して1勝を挙げるにとどまりました。

 

血統構成

Conquistador Cieloは大種牡馬Mr. Prospectorの初期の傑作と言われます。メトロポリタンHをレコード勝ち後に連騰でベルモントSに挑戦し、ケンタッキーダービー馬を相手に大差での圧勝を遂げ、年度代表馬に選ばれました。種牡馬入り後はマーケトリー、ミシエロなどの活躍馬を残しています。 

母Macharoundtheclockはアメリカで1勝を挙げています。一族にはコンラッドやバイラリーナなどがいます。

母の父Devil's BagはシャンペンSなどを勝ちエクリプス賞最優秀2歳牡馬になっています。種牡馬としてもDevil His Due、タイキシャトルディアブロなどコンスタントに活躍馬や後継馬を輩出しました。

 

私の注目ポイント

なぜ私がエイシンサンルイスを取り上げたかをご紹介します。

1.ブロードアピールとのライバル関係

ブロードアピールとのレースは3レースしかなく、すべて後塵を拝しているため、ライバルとは言えないかもしれませんが、伝説となった根岸S栗東Sはエイシンサンルイスが先行して強い競馬をしたからこそ、伝説として残っているのではないかと思っています。

根岸Sも逃げて上がり36.2とレース4番目の上がりでまとめたにも関わらず、34.3と芝並みの追い込みを見せたブロードアピールの引き立て役になってしまいました。

このレースはウインズで見ており、エイシンサンルイスとブロードアピールが本線でした。ブロードアピールが追い込んできてこれは2着には届くなと思っていたら、逆に1馬身1/4つけて勝たれてしまい、唖然とするしかなかった記憶があります。当然のようにウインズ内もどよめいていました。

相手が悪かったという感じでしょうか。

 

2.名コンビとなった太宰騎手

今ではいぶし銀の活躍を見せる太宰騎手ですが、当時は3年目の若手でした。同期に池添謙一騎手がおり、陰に隠れる感じではありましたが、順調に勝ち星を挙げていました。若手ながらきちんと乗れるジョッキーという印象があり、いつでも重賞勝てるのではないかとみておりました。

エイシンサンルイスでは3度も2着があり、次こそはといつも思っていたところ初勝利は2011年の福島牝馬Sまで掛かってしまいました。ただこの時は本当によかったなと思った記憶があります。

エイシンサンルイスとのコンビで勝てていれば、また違ったのかなとも思いますが、たらればは無粋なことですので、この辺にしておきます。

 

3.確実な先行力

1.でもブロードアピールの追い込みを引き立てることになってしまった確実で強力な先行力は魅力でした。距離が長めだった端午Sや休み明けのすばるSでは掲示板を外していますが、それでも0.9秒、0.6秒と大きくは負けていません。

きっちり先行して上がりもきちんとまとめられるため、負けて強しという安定感がありました。

ギンザグリングラス

 

 

プロフィール

ギンザグリングラス

2005年3月7日 牡馬

父  メジロマックイーン

母  ニドクリキリコ

母父 Sanquirico

厩舎 天間昭一(美)→松浦備(大)→山崎尋美(川)→山田正実(川)

109戦3勝

主な勝鞍 3歳未勝利(小倉芝1200)

 

競走生活

JRA

2歳:3戦0勝

3歳:8戦1勝 未勝利 

南関東(大井、川崎)

3歳:2戦0勝

4歳:16戦2勝 南風特別、31stホワイトクリスマス賞

5歳:15戦0勝

6歳:16戦0勝

7歳:13戦0勝

8歳:21戦0勝

9歳:15戦0勝

 

2歳夏の新潟でデビューするも3戦続けて1.0秒差以上をつけられ、敗れています。

3か月半開けて迎えた4戦目の小倉での未勝利戦。当然のように人気薄となってしまいましたが、菊沢隆徳騎手を鞍上に迎え、一気の逃げ切りで初勝利を挙げました。

その後、惜しいレースはあったものの7戦掲示板に載ることができず、南関東へ移籍しました。当初は慣れのせいか大敗することもありましたが、明けて4歳になると好走するレースが続くようになります。南風特別では初勝利同様に逃げ切り、芦毛白毛限定の31stホワイトクリスマス賞を三角先頭からの押し切りと自分の型に持っていければ強いところを見せてくれるようになりました。

結果的にこれが最後の勝利となってしまいましたが、現役最終年の9歳になっても2着に入るなどしぶといところを見せてくれました。

 

血統構成

メジロマックイーンメジロアサマメジロティターンに続き3代続けて天皇賞を制覇という名ステイヤーでした。種牡馬としてはホクトスルタンディアジーナエイダイクインの重賞馬を輩出していますが、母の父としてはステイゴールドとの組み合わせで三冠馬オルフェーヴル、G1 6勝ゴールドシップ、グランプリホースドリームジャーニーなどを輩出しています。

母ニドクリキリコは南関東で4勝を挙げています。

母父サンキリコはイギリスで走り、ロイヤル・ロッジSなど重賞を3勝しています。ホクトベガ時代の地方の女傑ケーエフネプチュンJRAではインターピレネー、ワンダーピアリスなどを輩出しています。母の父としては桜花賞アローキャリー宝塚記念ダンツフレームなどで見かけたことのあるかたもいらっしゃるかと思います。

 

私の注目ポイント

なぜ私がギンザグリングラスを取り上げたかをご紹介します。

1.ヘロド系

サラブレッドの始祖はゴドルフィンアラビアンバイアリータークダーレーアラビアンの3頭とされています。現在はほぼほぼダーレーアラビアンの系統であり、ゴドルフィンアラビアンバイアリータークの系統はかなり少ない存在となってしまいました。

日本でもパーソロンダンディルートなどからメジロマックイーン以外にもシンボリルドルフトウカイテイオービゼンニシキなどの活躍場が出ていましたが、現状では本馬のみが日本唯一のヘロド系種牡馬になります。

そう思っていたところ、最近トウカイテイオー産駒のクワイトファイン種牡馬入りのクラウドファンディングがあり、この系統を残そうという動きが出てきています。サラブレッドは経済動物でもあり、なかなか難しいところはあるかもしれませんが、本馬とともに何とかつないでくれたと願ってやみません。

世界的にもかなり厳しい状況になってはいますが、ザテトラークが再来してほしいですね。

 

2.メジロマックイーン産駒

1とも重なる部分がありますが、メジロマックイーン産駒最後の競走馬であり、最後の後継種牡馬になります。メジロマックイーン産駒はなかなか牡馬の大物が出ず、ついに途絶えてしまうのかと言われていた中でファンの力により種牡馬入りすることができました。

メジロアサマメジロティターンメジロマックイーンに続く4代目の内国産種牡馬であり、史上3例目となります。

 

3.勝ち上がり率

現時点で競争年齢を迎えた産駒は3頭しかいませんが、2頭が2歳戦で勝利と高確率で勝ち上がっています。フェイドハードは水沢の重賞にも出走しております。JRAと地方の差はあるかとは思いますが、それでも素晴らしい数字ではないかと思います。